頭痛の治療は、一次性頭痛と二次性頭痛の「仕分け」から始まります。

善玉と悪玉
善玉と悪玉
  • 一口に頭痛といいましても、いろいろの種類があります。
  • 大別しますと「一次性頭痛」と「二次性頭痛」です。
  • 一次性頭痛とは、「頭痛もちの頭痛」で、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛が一次性頭痛三兄弟です。
  • 二次性頭痛とは「原因のある頭痛」です。
  • なかには「命にかかわる頭痛」あります。
  • その代表は落雷のように突然襲う「くも膜下出血」です。
  • いままでにない頭痛が現れたら、かかりつけの先生に相談してください。突然の頭痛の場合は、すぐに脳神経外科や神経内科に受診してください。
  • (間中信也・間中病院)

片頭痛とはどんな頭痛でしょうか

片頭痛の様子
片頭痛の様子
  • 片頭痛は一次性頭痛(「頭痛もちの頭痛」)の代表格です。
  • 頭の片方がズキズキ脈打つように痛みます。
  • 頭痛が始まる前に、ギザギザの光、オーロラやモザイクのような模様が20~30分見えて、視界が悪くなる人がいます。これを閃輝暗点といいます。片頭痛はこのような「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」に大別されます。
  • 頭痛発作中には、前かがみの姿勢や、階段の昇降といった日常的な動作で頭痛が増強するのも特徴です。
  • 吐き気がして、吐いてしまう人もいます。
  • 多くのかたは、光や音に敏感になって、発作中は部屋を暗くして、TVやラジオも消して寝ている状態になります。
  • 頭痛発作は4~72時間程度続いて、自然に回復します。
  • 「片頭痛」と書きますが、両側痛い片頭痛のかたも沢山おられます。
  • 住民調査では100人中8~9人、30~40歳代の女性に限ると5人にひとりは片頭痛もちです。

 

片頭痛はとても辛い頭痛です。頭痛外来を受診されるかたの半数以上は片頭痛という統計が出ています。

  • (竹島多賀夫・富永病院)

緊張型頭痛とはどんな頭痛でしょうか

  • 緊張型頭痛はもっとも多い頭痛のタイプであり、頭痛の3割から7がこのタイプにあたります。
  • 症状は、後頭部中心の鈍痛が主体で、片頭痛と異なり、発作として感じることはありません
  • また、頭痛発作中には、姿勢の変化や、階段の昇降といった日常的な動作で頭痛が増強したり吐き気がして、吐いてしまう人はいません。
  • また光や音に敏感の人もいません。要するに片頭痛とは反対のかたちの頭痛といってよいと思います.
  • そしてその多くは、その支障度は軽いものが多く、発作の回数の少ない人はある意味で生理的反応であるともいえます。たとえば,せまい航空機の座席に何時間も座らされ動けなければ、多くの方はこのような頭痛を発症してくるでしょう。
  • 一方、慢性におこる。場合によっては毎日おこるこの型に分類される頭痛は生活の質(QOL)を大きく低下させ、高度の障害を惹き起こす深刻な疾患であり、しかもかたちが変わってしまった変容型片頭痛とまじわり、その鑑別すら困難となります.
  • すなわち、そのときに生体ではうつなどの精神的要素もまざったり,あるいは筋肉などからの末梢性痛みの過剰や誤った入力と、それを受容する側の脳の変化いわゆる中枢性感作という状態が生じ、慢性片頭痛や薬物乱用頭痛を生じさせてしまいます
  •  (獨協医科大学・平田幸一)

 

群発頭痛とはどんな頭痛でしょうか

  • 群発頭痛は一次性頭痛(「頭痛もちの頭痛」)のなかで一番痛い頭痛です。
  • 半年から2-3年(平均1)ごとに起こり、一度起こるとしばらくの間1ヶ月から2ヶ月)毎日続きます。群発頭痛という病名は、群発地震のように、ある期間に集中して頭痛が起こるところからつけられました。頭痛が毎日起こる時期(群発期)以外には頭痛は起こりません。
  • 頭痛は1日に12起こることが多く、特に就寝後1-2時間後の夜間の決まった時刻に起こることが特徴です(約6割の頭痛が夜間に起こります)。
  • 多くは一側性で、前頭部から眼窩にかけての頭痛です。その痛みは「目の中をドリルでえぐられるような」と表現されるほど激しい痛みで、15分から3時間持続します(平均1時間持続)。また、頭痛側の結膜充血、流涙、鼻づまり、鼻水、まぶたの腫れなどを伴います。
  • 群発頭痛の頻度は0.5%で、男性(男女比は5:1)に多いとされています。
  • (太田熱海病院・山根清美)
  • 群発頭痛は一次性頭痛(「頭痛もちの頭痛」)のなかで一番痛い頭痛です。
  • 半年から2-3年(平均1)ごとに起こり、一度起こるとしばらくの間1ヶ月から2ヶ月)毎日続きます。群発頭痛という病名は、群発地震のように、ある期間に集中して頭痛が起こるところからつけられました。頭痛が毎日起こる時期(群発期)以外には頭痛は起こりません。
  • 頭痛は1日に12起こることが多く、特に就寝後1-2時間後の夜間の決まった時刻に起こることが特徴です(約6割の頭痛が夜間に起こります)。
  • 多くは一側性で、前頭部から眼窩にかけての頭痛です。その痛みは「目の中をドリルでえぐられるような」と表現されるほど激しい痛みで、15分から3時間持続します(平均1時間持続)。また、頭痛側の結膜充血、流涙、鼻づまり、鼻水、まぶたの腫れなどを伴います。
  • 群発頭痛の頻度は0.5%で、男性(男女比は5:1)に多いとされています。
  • (太田熱海病院・山根清美)

薬物乱用頭痛とはどんな頭痛でしょうか

  • あなたが1ヶ月の半分以上頭痛に悩まされていて,週に2-3日は頭痛薬を飲んでいる状況が3ヶ月以上続いていれば薬物乱用頭痛かもしれません.
  • もともとは片頭痛または緊張型頭痛をお持ちの方が,市販の頭痛薬や病院で処方された鎮痛薬,トリプタン,エルゴタミン製剤などを月に10日以上(単一成分の鎮痛薬では15日以上)飲むことによって,もともとの頭痛がひどくなる,あるいは今までとは違う頭痛が起こっていれば薬物乱用頭痛と考えられます.
  • 関節リウマチの患者さんや腰痛などのために鎮痛薬を飲み続けても薬物乱用頭痛にはならず,もともと頭痛もちの人がなるので,何らかの素因が関係すると考えられています.
  • 薬物乱用頭痛患者さんは一般住民の1-2%ほどいると考えられています.頭痛外来や頭痛センターでは10%以上を占め,女性の占める割合が多いです.
  • (神奈川歯科大学附属横浜クリニック内科・五十嵐久佳)

 

二次性頭痛とはどんな頭痛でしょうか

  • 二次性頭痛とは、一言でいいますと原因がはっきりしている頭痛のことです。
  • 原因が治れば頭痛は、大幅に軽減または消失します。
  • 二次性頭痛には生命にかかわるものがあります
  • 脳動脈瘤が破裂しておこるくも膜下出血などが代表的です。
  • 一般的に突然に起こった頭痛、生涯感じたことのいない頭痛、意識が悪くなったり言葉や運動麻痺などが同時に起こった頭痛は命にかかわる可能性が高いと考えます。このような頭痛が起こった場合はすぐに脳神経外科や神経内科などの専門病院を受診しましょう。
  • 二次性頭痛の原因は、外傷、感染、脳腫瘍、自己免疫疾患など多種多彩です。また薬物乱用頭痛も二次性頭痛に含まれます。
  • 二次性頭痛は原因を対処できれば治る頭痛ですから、原因を見つけ出すことが重要です。自分で判断することなく、専門医を受診しましょう。
  • 山口大学脳神経外科・米田浩、鈴木倫保

 

二次性頭痛の中でもっとも恐れられているくも膜下出血についてもっとくわしく

くも膜下出血のCTとクリッピング・コイルによる治療
くも膜下出血のCTとクリッピング・コイルによる治療
  •   生命にかかわる二次性頭痛の原因となる代表的な疾患です。
  •  くも膜下出血の80%が脳動脈瘤の破裂が原因で起こります。
  •  脳動脈瘤破裂により生じる頭痛は、「これまで経験したことのない頭痛」や「後頭部をハンマーで殴られたような痛み」などと表現されるような、我慢できない強烈な頭痛が典型的な症状です。
  •  くも膜下出血の診断はCTスキャンで、また脳動脈瘤の位置は、3D-CTアンギオグラフィーまたは脳血管撮影で行います。
  •  治療法としては、開頭による動脈瘤頚部クリッピング術血管内手術による動脈瘤コイル塞栓術のいずれかが選択されます。
  •  脳動脈瘤が再出血すれば約半数の患者さんが死亡するため、再出血を予防することが重要です。すぐに脳神経外科や神経内科に受診してください。
  •  そのため、くも膜下出血の適確な診断を下す上で、特徴的な症状である「突然の激しい頭痛」が極めて重要であることを再度、強調しておきたいと思います。
  • (池田幸穂・東京医科大学八王子医療センター)

 

子どもの頭痛について教えてください

子どもの頭痛
子どもの頭痛
  1. 子どもにも、一次性頭痛があり、各国の学校基盤の有病率は、片頭痛10.4(わが国の中学生では4.8%)、緊張型頭痛13.2%です。
  2. 外来を受診する子どもの頭痛の4分の3は片頭痛ですが、これは子どもにとっても片頭痛は、生活の支障度が高い頭痛であるためです。子どもの片頭痛も成人の片頭痛と同じ症状ですが、違う点は、前頭側頭部であれば両側でもよく、頭痛の持続時間は172時間(大人は472時間)という点です。
  3. 小学校高学年から中学の思春期には、学校や家庭における心理社会的問題が関与し、頭痛が慢性化することがあります。この場合、片頭痛のほか、慢性緊張型頭痛が加わり、難治性で、不登校に発展することもあります。
  4. 子どもの二次性頭痛は、約4と少ないのですが、ふらつく、物が二重に見えるなどの神経症状、意識障害があるときは頭部画像検査が必要です。血液検査や血圧測定、時に脳波検査が必要なこともあります。
(筑波学園病院小児科/東京クリニック小児・思春期頭痛外来・藤田光江)

女性の頭痛に特徴はありますか

片頭痛、緊張型頭痛ともに、女性が男性より多いというデータが出ています。

  • 特に片頭痛は、女性が圧倒的に多く、男性の3倍です。
  • 女性に頭痛が多いわけとして、
  • ① 女性ホルモンの影響、
  • ② 遺伝的な要因、
  • ③ ストレスや痛みそのものに対しての反応の違い、
  • などが考えられています。
  • 片頭痛では、その病態の一因に女性ホルモンが深くかかわっていると考えられています。
  • ①  初潮を迎える思春期以降、男性より女性で片頭痛をもつ人の割合が増えます。
  • ②  片頭痛もちの女性の半数以上は、月経前や月経中、直後など、月経の時期に関連して片頭痛が起こります。
  • ③  大半の片頭痛もちの女性は、妊娠中と閉経後に、頭痛の頻度と程度が軽減するといったことが明らかになっています。
  • 女性ホルモンの1つエストロゲンの変動が、脳内のセロトニンの変動に影響し、痛みに過敏になることが頭痛を起こしやすくすると考えられています。

(北里研究所病院神経内科 美峰)

どのような頭痛の場合に受診したらよいでしょうか

受診頭痛
受診頭痛
  •  頭痛は、一次性頭痛と二次性頭痛に大別されます。
  •  二次性頭痛は、くも膜下出血、髄膜炎などの「原因があって生じる頭痛」で、なかには放置しておくと生命にかかわるものもあります。
  • 原因をみつけることが大事ですので、受診しましょう。

突然の頭痛、今まで経験したことがない頭痛、いつもの頭痛と様子が異なる頭痛、頻度や程度が増していく頭痛、50歳以降に初めて起こった頭痛、麻痺やしゃべりにくくなったり歩きにくくなったりするなどといった症状を伴う頭痛、発熱や吐き気・嘔吐などを伴う頭痛は二次性頭痛が疑われますので、受診して下さい。

  •  片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛も、苦痛に感じたり、日常生活に支障があれば受診しましょう。
  • 安易に鎮痛薬を使用していると薬物乱用頭痛になってしまうこともあります。
  • 自分の頭痛を正しく理解することが大事で、受診して正確な診断と正しい治療を受けるようにしましょう。

(鳥取大学脳神経内科・中島健二)