- 緊張型頭痛の性状、メカニズム、治療や対策法についてはすでに述べられておりますが、一部重なる部分もご容赦いただき、ここではこの頭痛の誘発因子について説明させていただきます。
- まず、私が外来で患者さんにお伝えするのは、片頭痛なのに肩こり頭痛だと誤解している方が極めて多く、その誤解を解くために、頭蓋骨内の脳表血管が広がる頭痛が片頭痛。頸部や頭蓋骨周囲の筋肉内の血管が縮むのが緊張型頭痛であるとお伝えします。
- そのため、緊張型頭痛には、片頭痛と逆のリラックス、入浴や運動など血管を広げることが推奨されるわけです。
■筋肉の中の血管が縮むということはどういうことか?
- 筋肉痛は誰でも経験していると思います。
- 走りすぎた後に足がつってしまい、筋肉が固くなり痛みを伴うことがあります。それと同様のことをイメージしてください。
- 肩から頸部さらに後頭部にかけての筋肉群と頭蓋骨周囲の筋肉が、同様に固くなるということです。
- これは、筋肉が疲労してくるのは、筋肉内に乳酸などが貯留して末梢血管を収縮させます。
- その結果、血流が悪くなり筋肉は魚の干物のように固くなります。
- (医)斐水会 ながせき頭痛クリニック 永関慶重
- 頭は3-4kgの重さがあり、この頭を体幹とつないでいるのが頸部です。子供の持つボーリング球の6ポンド程度の重さです。
- この頭の重さを支える姿勢は、下向きと上向きであり、また、心理的などストレスがかかるとこの後頸部の筋肉は交感神経が支配しているため、無意識にいかり肩になります。
- これら3つの姿勢が緊張型頭痛の危険因子であり、これらの姿勢をとることが誘因となります。
- これらを下向き頭痛、上向き頭痛、いかり肩頭痛と3つに分類してそのの誘因となる姿勢を調査した結果は以下の通りです。
■下向き頭痛:手芸、編み物、読書、草刈り、調理、貴金属製造、内職、木工、IT関係のパソコン作業。
■上向き頭痛:剪定、摘果や受粉作業、電気工事、クロス張りなどの作業、丸背の高齢者。
■いかり肩頭痛:絶えず重いものを持ち上げる、子供を抱っこ・おんぶする、重いカバンやリュックを背負う、長時間の運転、寒冷ストレス
- これらはいつもそうなるかではなく、もともと慢性的に肩が凝っている状態に、上記のような負荷がかかり筋肉の緊張が加重されたとき、さらには筋肉を使っている時間が長時間にわたったときなどに緊張型頭痛になると考えられます。
- このような筋肉の固くなる状態を避けることが肝要です。
(医)斐水会 ながせき頭痛クリニック 永関慶重