片頭痛はとても辛い頭痛です。頭痛外来を受診されるかたの半数以上は片頭痛という統計が出ています。
(慶應義塾大学・鈴木則宏)
吐き気或いは嘔吐、 光過敏と音過敏
しばしばその方に決まって頭痛の引き金となる因子(昼寝など)がある、
家族に同じ頭痛の人がいることが多い、
睡眠後に頭痛が軽くなる、
子供の時乗り物しやすかった、
女性ホルモン変化に関連して起こるといったことが挙げられます。
(北里大学神経内科学・北里研究所病院神経内科 濱田潤一)
(医療法人 立岡神経内科 立岡良久)
表 わが国で保険適用の認められた片頭痛予防薬
抗てんかん薬 バルプロ酸ナトリウム(デパケン)
抗うつ薬 アミトリプチリン(トリプタノール)
β遮断薬 プロプラノロール(インデラル)
Ca拮抗薬 塩酸ロメリジン(テラナス、ミグシス)、ベラパミル(ワソラン)
ARB/ACE阻害薬* カンデサルタン(ブロプレス)、オルメサルタン(オルメテック)
リシノプリル(ゼストリル、ロンゲス)
*:保険適用はないが、高血圧症と片頭痛を併せ持つ患者さんには有効。
岩手医科大学 神経内科・老年科 寺山靖夫
寺山靖夫
岩手医科大学 神経内科・老年科
① 騒音に過敏性のある方は、ガード下やゲームセンターなどの騒音環境や人混みを避ける。
② 光への過敏性のある方は、明るい日差しや照明を避け、パソコンの輝度を和らげる。偏光サングラス装着も考慮する。
③ タバコや香水のにおいへの過敏のある方は、においの淀んでいるような場所を避けたり、周りの喫煙者に配慮してもらう。
④ 激しい運動で誘発されやすい方は、もちろんそのような運動を避けるべきですが、運動不足にならないようにストレッチやラジオ体操、速足散歩などを心がける。
⑤ 乗物酔いし易い方は、し易い乗物を避けるか乗車時に席位置への配慮や遠方を見るなどの対策をする。
⑥ 寝不足や寝過ぎを避け、就寝時刻や睡眠時間を適量一定に保つ。
⑦ 気候の変動に注意し、室内や衣服内環境を整える。合わない気象時の外出を控える。
⑧ 月経前に決まって起きるような方は、医師と相談して短期間の予防治療を取り入れる。
⑨ アルコールで誘発される方は、控えるべきですが、チーズやチョコレートなどの食物は誘発されたことがなければ、神経質になることはありません。
⑩ 精神的ストレスは避けにくいものですが、ストレスがゆるんだときに起こりやすいので、休日などでも⑥を含め、生活時間の一定化を図る。
⑪ 片頭痛発作を含む多くの因子が肩こりを来しやすく、肩こりが緊張型頭痛と共に片頭痛発作も引き起こしやすいので、肩こりの誘因(悪い姿勢、眼精疲労、寒冷・冷気、虫歯・歯肉炎、腰痛など)排除や肩こり対策(肩回し体操や速歩散歩などの適度の運動、温湿布の利用、入浴)を日頃から心がけておく。但し、首の細い部分へのカイロプラクティックやマッサージは脳血管障害のリスクがあるので避けること。
亀田メディカルセンター神経内科 福武敏夫